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第九章 モデルルームで想う

第九章 モデルルームで想う

全回までのあらすじ。

マンションギャラリーへ初めて来場した隆夫妻だったが、最初から営業マンにぺースを握られる。モデルルームを見たら圧倒され、買う気持ちがかなり上昇してきている。「まだ価格などは見せてもらっていないが、少し高いくらいであっても買っちゃうかもな」という気が芽生え始め、頭の中ではもうこの家に住んでいると錯覚している。

「モデルルームは、一通り見ていただいて、お二人それぞれ、改めてどうだったですか?」と席に着くなり感想を求められた。

「とてもよかったです」と妻。隆も「広くて十分でした。ちょっと引け目を感じるほど、設備が良くて驚きました。こんなにいろいろは要らないくらいです。」少し逃げ道を作っておきたくて100%満足とは言わない。

「今のマンションはこのように最新の設備で勝負しています。弊社はどこの物件でもこのくらいは標準装備です。ただし、今回は一味違います。本物件の目玉は”エコ”です。住めば住むほど得なガス、電気、水道。生活費を全面的にコストダウンできます。エコジョーズ、LEDライト、保温浴槽それにミストサウナ、節水トイレ、床暖房。断熱材がしっかり入った壁は冬暖かく、夏涼しいですよ。ここに関しては一戸建てよりも断然マンションが優れています。私は一戸建てに住んでいるので、冬はお風呂が外みたいに寒いですよ。マンションの風呂場、脱衣所はあったかくてうらやましい。更にインターネットは使い放題で1000円です。」ーA

一戸建てに住んでいるんだ、なぜ戸建てを選んだのか聞いてみたかった。マンション屋なのに戸建てですかと変な風に解釈されるかもと思い止めといた。

「再度お聞きしますが、70㎡くらいで十分とおっしゃってましたよね。それくらいあれば十分広いという認識でよろしいでしょうか?」「設備の方も物足りないとか、これないの?というものがあったらご質問ください。熱くなりすぎて説明し忘れていることもありますので。」

「特にこれがといったことはうーん。何が無いとかは分からないので。今日初めてだし。ね。」と妻。

「わかりました。それでは、モデルルーム見学の聞いておくべき大事な部分を補足しましょう。1点目は”見えない部分”を確認すること。2点目は、”オプションや設計変更に注意すること”です。」-B

隆たちからあまりにも質問が来ないので、興味が薄いかなと思い立て続けに聞く。「もしかして、聞いても理解できないから悪いと思っていませんか。聞いても分からなくていいんです。私は聞いてくれると安心できるので。本当は私も質問が怖いんです、何が飛んでくるか分からない。特に初心者の方(笑)。内容は高度ですが、話し方や、印象で感じてください。何か自信ない話し方をし始めたら、そこは他のお客様が納得いかず断わられるポイント(ネック)だったりします。聞いてくれるなという部分についても、私は隠さず話しますけど。」ーc

なるほど、N値やスラブなんて言葉は聞いてもどうせ分からないから聞かないでいた自分がいた。分からなくても聞くことで、何か掴めるかもしれない。1時間後に質問して判明した一つの事実により断るかもしれないが、6時間後に知り買わないよりお互いにとって無駄な時間がないだけ良い。決定的なネックを探して、それが無かったら買うという結論になるんだろう。分かっているけど出来ない。大人になるとなかなか出来ないものだな。今日は家以外にも収穫がある日になりそうだ。ーD

「構造に関しましては、2重床、2重天井、窓ガラスはペアガラス、スラブ厚は220㎜以上を確保しています。高強度コンクリートを採用し、図の通り・・につき3000tに耐えられるという・・。ご質問はありますか?」

「220mmってすごいんですか?2重だといいんですか?」とりあえず食らいついて質問してみる隆。

「例えば、賃貸マンションだと150㎜の厚みのことが多いようです。やはりなるべく安く作り、高い賃料で利回りを取りたいからです。なので、賃貸仕様に比べてそれだけ上階からの音がしてこないと思いませんか?賃貸マンションの今の床の厚みが分かれば比較したここの良さがお判りいただけるかもしれませんね。更に直床よりも2重の床の方が、足で支えて、その足がゴムの靴を履いている状態なので、音を軽減する構造をしているだけ影響を抑えようと配慮しているんです。」

「設備仕様については、つけられるものは大体全てついています。他社さんにあればうちもついています。後はオプションなどで付けられるものもあります。そして、無料で設計変更できるメニュープランと、キッチンの高さを3段階で帰られるセレクト、床の色を薄めにしたり、濃いめにしたりできるカラーセレクトはお話しましたっけ。カスタムできる楽しさもあります。期限がありまして、いつまでも工事会社が待ってくれないので、早めにお決め頂けた方のみ選べるということになりますが。」ーE

いろいろ無料でも選べたりするんだな。でも濃い床の色とかを選んでどうなってしまうのか想像がいまいちつかない二人であった。

続く

考察

今回はモデルルームのトリックというものから説明していきたい。3LDKの洋室の1つをリビングと見立てて、広いリビングに見せる手法をとることは多い。5畳の洋室と、12畳ぐらいのリビングダイニング(LD)を合わせると17畳前後になり、キッチンも最近はオープンキッチンなので、約3畳を含め空間は20畳近くになり、広く感じる。100㎡の4LDKに匹敵する迫力がある。但し、3LDKの洋室の一つは吸収されているので2LDKになっているはず。これに惑わされやすい。子供が複数居た場合は、標準のリビングの大きさを聞いておくべきだと思う。子供が一人以下であれば、どうせ2LDKにして広く使うことが多いだろうから「広くていいな」と純粋に騙される感動するのもアリだと思う。2点目に、モデルには無いものがあることがある。よくあるのはテレビとテレビボードがさりげなく置いていない。広く見えるが、我が家の家具をよく思い出して考えることは必要である。他にはインテリアの手法で、広く見せるコツというのがある。これは騙されないようにというよりかは、自身の家具レイアウトの参考にしたい。ソファの背もたれの低いものを選んだり、照明器具を天井に張り付いているようなシーリングライトにしたり。部屋の4隅をスタンドライトや間接照明で照らすことにより広く見えるといった視覚効果があるらしい。専門ではないのでインテリアの雑誌等を参照されたい。以上モデルのちょっとしたマジックについてでした。

それではまたいつもどおりAから考察。

ーA:設備がいいというのを具体例を挙げて説明している。人は一度にあまり多くは覚えていられないので、3個づつセットにして、あれも、これも、それもいいですとテンポよく進んでいる。どう良くなったのか?比較対象が今の賃貸マンションであり、今の生活より良くなり、そしてランニングコストも下がるからいいと説明している。更に「体験を売る」ということで、自身が戸建てに住んでいて寒い。だからマンションはあったかい。冬暖かいのはいいことだという体験を話している。そしてインターネットは1000円と具体的な安さに触れている。初めて見学した人たちはコロッと買ってしまいそうなデンジャラスゾーンNO.1。それでは逆に「体験を買う」を例をあげてみると、値段や立地、設備がどうのこうので買うのではなく「真っ白なキッチン、暖かい広いお風呂や床暖房、南向きでひだまりでポカポカしてお昼寝している幸せな自分」を手に入れるという感覚。「モノより思い出」的なこの違いがこの例でお分かりいただけたであろうか。

ーB:ここは通常営業マンから説明があると思われる。ただ、販売開始を過ぎると選べるものはなくなるし、モデルルームにあるオプションも出来なくなることもあるので説明がないこともある。

ーC:聞けない人 多いです。プライドなのか、興味がないのか。買おうと思ってから必死に聞き始めることが多く、そしていっぺんに聞くので覚えていられないため、再度聞く。聞かずに知ったか振りをすることもあり、進んでしまうと購入間近で決心がつかなくてモジモジしている。渋滞を起こすんです。前にも後ろにも動けなくなる。営業サイドからはその心理がよく見えています。

ーD:用語の説明です。N値は、杭の話です。地面を掘ると固い岩盤にいずれ到達します。それが地下5mであったり、50mだったりします。そこまで杭が刺さらないと建設できないということで、杭の長さが何mと説明を受けます。要するに固いところまで杭を打っているので倒れにくいですというところが重要で、どのマンションでも結局大丈夫という答えで安心するだけなんです。50回たたかないと杭が刺さらない固さをN50と表しています。営業マンもそこを大丈夫ですと言い切りたい。でも難しいので、聞いてくれない人に説明がしにくいのです。だから食いついてきてほしい、そこ聞くところ!と思っています。聞いてください。そしてスラブ厚とは下階と上階の間のコンクリートの厚さのことです。

ーE:工事の途中で、上層階を作っているうちに一階の部屋の床を作り始めたりします。床の色が選べるのは床の工事が始まる数か月前に期限を設けます。それまでならいろいろな色に無料で変えられますというもの。大体3色指定があって選べるようになっている。但し、モデルルームの色以外はサンプルの板などなので、イメージは沸きにくい。結果、みんなモデルルームの色にしますとなるのが通例。色は流行り廃りがあるので、その時悩んでも気持ちは変わるので仕方ないと思います。直観で決めましょう。悩むとどうせ時間切れになります。

以上、モデルルーム見学考察でした。