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第十四章 妻の友人の貴重なアドバイスを受けて

第十四章 妻の友人の貴重なアドバイスを受けて

 知子は今日は一日予定がなかったので、前から会おうと約束していた友人と会うことにした。

 銀座:昼12時

 銀座4丁目の交差点で待ち合わせした。周りを見てると楽しい。さすが銀座だなと思った。今日は落ち着いて座れる店に狙いをつけ、並ぶ覚悟で向かった。

知子「ごめんね。急に呼び出して。ちょっといろいろ悩みがあって。」

友人「なになに?」

「あなた去年家買ったでしょう?その時どうやって決めたの?」

「あまりよく考えないで、一つ見に行って、親に相談したら”さっさと買えば”みたいな感じ。他にいいのなかったし、面倒だからここでいいやと。」

「ご両親はやっぱり早く家は買ったほうがいいって感じだった?」

「そうだね。家賃が勿体ない、すぐ買いなさいって前からうるさかった。お金は出さないが口は出す(笑)。」

「そうだよね、うちはなかなか帰省できなかったから、後ろから押されるようなこともなかったし、のほほんとしていたんだけどね。そろそろ考えないとと思って。」

「そうなの?どこで?今住んでるところの近くか。良いんじゃない。いくつか比較しても、自分で答えは出てんだよ、大体一つしかないんだ。値段と、広さと、大きなネックがなければそこでいいんだよ。ところで何か引っかかってるの?」

「一軒しか見てないことかな。あとは難しい話がたくさん出てきて、キリギリスのような気持ちになってるの。」

「(・・?)そうなの。」

「ビビビとこないのに買うのも嫌だなと。比較物件は2駅先くらいにしかなくて、そこに行きたい気もしなくて。昨日2回目見に行ったところがあるんだけど、そこは悪くないんだけど。」

「2回見に行って、嫌いじゃなければ良いんじゃない?住めば都だし。どこが良かったのかなんて考えてもわからない。タイミングだって良かったのかわからない。ただ、一つ言えるのは買ってから後悔する人は殆どいないと。買わなかった自分と比較することはできないから。どうせいつかは買うんでしょう。買いたい時が買い時だよ。」

「それどこかで聞いた。営業の人が同じこと言ってた。銀座でも営業ウーマンに家買わされそうだわ。」

ランチは1時間で終わり、喫茶店で少しお茶も飲んで、保育園のお迎えがあるのでということで3時には別れた。子育ては大変だな。

 「買っちゃえば振り返らない」か。友人の最後に言っていた一言が後押しとなった。どちらかというと優柔不断だった友人が、昔に比べて随分精神的に強くなったなと思った。子供が生まれるとこんなにも強くなるものなのか。

 夜、隆にその話をした。住宅購入に際し、知子は一番有益な話をいいタイミングでさらっと聞いてくるから頼りになる。友人にも感謝である。多分迷わせてもしょうがないと思って、100%押ししてくれたんだろう。「よく考えなよ」とか「後戻りできないよ」などと不安を煽る人もいるけど、正直それは役に立たない助言だ。大体の場合は、相談するときにある程度腹は決まっているだろうから。

 一週間のうち、水、木、金は何も考えなかった。考えてもあまり大きな要素は出てこないだろうと思ったから。それより買ったあと生活がどう変わっていくのか考えた方が有益だと思った。次の土曜日の朝はすぐに訪れた。

続く