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第二十二章 重要事項説明会(前半)

第二十二章 重要事項説明会(前半)

いよいよ契約日。

 結構時間がかかると聞いていたが、高い買い物だから仕方ない。今日は勉強の日になるという予感。詰まらない話が延々と続き、眠気と戦う姿が見える。

 結構疲れてきている。毎週毎週こうも3、4時間慣れない事に神経を使うと仕事にもとても影響する。前日は21時半に寝てしまった隆だった。

 印鑑を持ち(実印)、ピシッとした格好をして、さあ出かけよう。雲一つなく、遠くのエンジンの音と、自転車のブレーキの音だけがする朝。

 上の空で歩いていると、すぐに到着。15分前で一番乗り。印鑑を机に置いて、知子はお手洗いへ。隆は机の上の地図をまじまじ見ている。

 暫くして3組の夫婦が訪れた。年齢は30歳、45歳、50歳くらいか。皆営業マンと親しげに打ち解けている。今日は自分達だけの営業さんではない。

 先手を打って話しかけた。どちらからお越しですか?と。一番無難な質問は兼ねてから用意していた。全員に聞き終わると、一気に皆打ち解けて話しかけ始めた。ぎこちなさが溶けて消えた。

 重要事項説明の担当者が来た。佐藤さんという。国家資格の宅地建物取引士の免許を出した。これを提示して、説明をするという事が義務であるらしい。重要事項説明とはこの宅建士の専業であり、この人でないと読めないという。適当な人が読むよりずっといい。

 簡単に自己紹介があり、早速配られた書類を読み始めた。

①このマンションの土地、建物について。面積など

②その土地にかかる法律、行政の条例など。

③消費税について

④電気、ガス、水道などのインフラについて

⑤建蔽率、容積率について

⑥登記簿謄本について。

⑦契約方法について

⑧契約解除、そのペナルティなどについて

⑨手付金の性質について

⑩犯罪収益移転防止法について、その他税金について

これで1時間みっちり話を聞いた。まだ半分だ。ここまでで質問がありますか?と言われても聞いても多分わからないだろうから後でこっそり聞こうと思った。

佐藤さんはいい声ですね。と場を和ませてみた。

 休憩タイムをとってくれたが、その時トイレも行かず皆よく質問していた。「ローンが通らなかった場合の手付金はいつ返金されるのか。」「ローン特約と言うが、転勤などの場合はやむを得ない状況なのか。」「いつから解除できるのか、いつから出来ないのか」「タバコはベランダで吸えるのか」「布団は干してはいけないというが、どうするのか」「上の階の人がうるさかったら誰にいうのか」「どんな人が契約しているのか」

 何を聞いてもすぐ答えてくれるのがすごいと思った。答えられない質問を探したが、質問が出てこなかった。馬鹿みたいな質問したら、入居後に変な目で見られると思ったので、知った顔をして乗り切った。

 佐藤さんについては、全て答えられた訳ではなかった。上の階とのトラブルについては難しい問題で、当事者同士で話し合ってもらうしかないとのこと。我関せずという風にも聞こえるが、当事者で話し合わないと解決しないという。

 転勤の場合はローン特約にならない。止むを得ない事情ではないという。ローンが通らなかった場合だけ手付金が返ってくると考えた方が良さそうだ。何だか歩に落ちないので、じゃあ離婚した場合は?と聞こうと思ったが、隣に妻がいるのでとっさに止めた。危ない。こういう質問は50代の夫婦に任せるべきだ。

 「さて、そろそろ再開しましょう。」

次回は重要事項説明の後半「特記事項」についてかきます。

考察

重要事項の説明というのは、どんなイメージを持っているだろう。本を読み上げる形で、途中、質問があれば聞くスタイルだ。特に何か喋らされたり、理解度を図る小テストなどは無いので、途中少し寝てしまう人もいる。とにかく朗読する人、噛み砕いてわかりやすく説明する人。脱線していろいろな話をする人。面白く興味を持たせるように小ネタを挟んで退屈させない人。など色々な説明の仕方があるので興味深い。遡ると用語の説明もあるので過去の記事も読み返してほしい。質問があれば受け付けます。