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第三十九章 引渡の儀

第三十九章 引渡の儀

いよいよ、今月末に引き渡しとなった。内覧会からはいろいろと忙しかったが、ようやく新しい住まいが手に入る。

建物はほぼ出来上がっている。バリケードで入れないが、もう外溝の工事をしており、木も植えられた。あと2週間あれば十分きれいになるであろう。

帰宅途中に夜隆は見に行っている。誰も住んでいないので真っ暗だ。外観は白のタイルを基調としており、明るくていい。

引っ越し業者も見積もりに家まで来ており、ちょっと高いかと思ったが、13万で決着。トップシーズンなら20万掛かっていたかもしれないのでここは我慢。

引き渡し日の夕方にもう引っ越すことにしていた。月末で、来月分の賃料がかかりたくなかった。他の方はどうしているんだろうと思いつつ、一番早い引っ越し時間を大胆に選んだ。

 

 その日はアッという間に来た。

 引き渡し当日。二人で午前中からすべての荷物を出した。トラックを見送る。荷物は多かったが、2トントラックにすっぽり収まると、こじんまりしているなと感じる。近くなので自転車は乗せずに、これに乗って駅の反対まで移動した。

13時。引き渡し開始。迷惑だと思いつつ、15分前にスタンバイする。やっぱり迷惑だったか。少しお待ちくださいと若い担当者に座らされる。

 引き渡しは10分くらいと聞いていたが、本当にあっという間だった。

営業の担当者さんとは限らず、来た順に流れ作業で話が始まる。若い女性の担当者だった。初めましてとあいさつを済ませ、すぐに書類の説明に入った。

次から次へと契約者がやってきている気配を感じた。みな、予定時刻より早く来ているようだ。気が早い。

書類は、「銀行から預かった書類」「設計性能評価書(原本)」「建築性能評価書(原本)」「説明書と書いてあるCD」「各種パンフレット」「セコム鍵の預かり証」だった。これは保管すればいいとのこと。そして、鍵を5本並べて説明があった。「鍵は本来6本引き渡しになります。ただ、すでにセコムに1本預けておりますので、鍵の代わりにこの預かり証が鍵の代わりです。そしてこの5本のカギを今日お渡ししますので、鍵の受領証にサインをお願いします。」

鍵は2本がノンタッチキー、一本が裸のカギ、そしてラクセスキーという射程距離のながいハンズフリーキーが2本だった。普段はラクセスキーだけ使うのだろう。色がついていて、無くしても分かりやすくなっているとのことだった。

「以上でお引渡しの手続きは完了です。何かご質問などはございますでしょうか?」

「特に大丈夫です。あの、もう部屋には自由に入って大丈夫ですか?」

「はい、もうお客様のお部屋なので、自由です。今日まだお住まいにならないなら、こちらではもう開けられませんので、戸締り、電気などしっかりと管理をお願いします。」

「そうか、もう部屋を見せてくださいと聞く必要はなかった。愚かな質問をしたものだ。」早速家に向かう。

木の香りが’新築のにおい’だ。とうとうここまで来た。まさか2つしか見学せずに決断するとは思っていなかった。営業の人に感謝。最後会えなかったけど、後でメールでも入れておこう。いつの間にかモデルルームは閉鎖しており、来月には解体に入るようだ。とっくに完売しており、次はどこへ行くのだろう。売れ行きも良くていい買い物だったと思う。

「よし、午後は引っ越しだ。鍵を開けて、15分しかないけど、ちょっとコンビニで買っとこう」

良く晴れた日の静かな昼のひと時だった。

「第40章、引っ越しトラブル」へ続く